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全国牛乳新聞・【第506号】(抜粋)
2006年(平成18年)11月10日


広田教授、牛乳批判の本に大反論〜成長期の食生活と身体づくりを指南〜

「3・A・Day講演会」    神奈川地区牛乳・乳製品セミナー


__(社)日本乳業協会と(社)日本酪農乳業協会は、10月18日、横浜市教育文化ホールで「3・A・Day講演会・神奈川地区牛乳・乳製品セミナー」を開催した。当日、会場には教育関係者、栄養士、食生活改善推進員、乳業関係者など、約400人が参加した。
__同セミナーは従来、牛乳・乳製品セミナーとして開催されていたが、業界が推進している「3・A・Day」のキャンペーンロゴを冠に用い、正しい栄養摂取、食育の観点から 牛乳・乳製品の普及・啓発を目指し全国各地で開催している。



__今回の講師は、辻学園栄養専門学校中央研究室室長で、主任教授を務める、広田孝子先生。先生は、臨床栄養学が専門で、骨粗鬆学会に所属しながら、長年、若年者の食生活、骨形成に取り組んで来た、「骨」についての専門家だ。

冒頭、先生は、10数年間骨密度の測定を続けてきた膨大なデータを基に話しをすすめていくこと、聴衆に栄養指導に関わる人が多いことから、科学的なデータを役立てて、健康指導をするオピニオンリーダーになってほしい、と訴えた。

広田先生の話しはまず骨粗鬆症についての説明から始まった。
__腰を折るようにしているおばあさんをよく見かけるが、あれは単に背骨が曲がっているのではなく、圧迫骨折を起こしているのだという。これは、カルシウム不足、女性ホルモン不足によるもので、あまり痛みを感じることがなくても、数箇所骨折していたというケースはざらにあるようだ。神経を圧迫しているケースでは、朝、痛みで布団からなかなか身体を起こせないようになってしまうそうだ。
__また、他の骨折が起きて、寝たきりになってしまい、やがては痴呆にまで進んでしまうのが最悪のパターンだ。
__歳をとったら、骨密度が減るのは止むを得ないことだが、若いときの骨の状態を維持するように努力していただきたいと先生は警鐘を鳴らす。

そこで、若い人に目を向けてみると、もっと深刻な問題がある。
__19歳から25歳の女子学生161人を調べたところ、6人に1人が50歳台の人並みの骨密度だった。この人達の特徴として、ほっそりしているとか、中学・高校生時に運動が嫌いだったとか、いろいろ挙げられるが、何と言っても、給食の牛乳を飲まなかったという人が多かった。また、ダイエットをしたという人も多く、ダイエット回数と骨密度が低い人の数は完全に反比例することが分かっている。更に、ダイエットの開始年齢を調べたところ、小学生の頃に開始した人は、それ以降、中学・高校・大学から開始した人と比べると、骨密度の低い人の数は倍以上になる。
__そこで子供達はどうかということで、学童期の牛乳摂取と骨密度の関係を調べてみると、学校給食で牛乳を摂取し、思春期になっても摂取し続けた人は、明らかに骨密度が高いことがはっきりした。こうして学童期に確保できた骨密度は、50歳くらいまで効果が持続できることも分かっている。いかに成長期における食生活が大事か、ということが分かる。

では、すでに骨密度が低い人達はどうすれば上げることができるか。
__女子学生たちの協力のもとに、骨密度増加を目指して、栄養指導・運動指導を開始した。それまでより1日200mg、カルシウムを多く摂ってもらうのが目標。ちょうどコップ1杯の牛乳で確保できる量だが、牛乳が苦手の人は、ヨーグルト、チーズ、あるいは豆腐でも大丈夫。併せて、適度な運動も指導し、息が弾んで、汗ばむくらいの運動量を確保した。それには速足で15〜20分歩くのが良い。息が弾んでくると体温が上昇し、代謝が活発になってダイエット効果をもたらすことになる。そうして半年後には明らかに変化が生じ、骨密度の上昇が確実になった。

厚生労働省が2002年に発表したガイドラインによると、
__骨粗鬆症予防・治療のために次の3項目を挙げている。
@ カルシウムは1日800mg以上
A 栄養バランスのとれた食事
B 適正体重の維持(無謀なダイエットはしない)

カルシウムを多く含む食品は次の通り
 ○牛乳200ml     230mg
 ○ヨーグルト100g   130mg
 ○チーズ6mm厚さ2切れ 270mg
 ○豆腐半丁        180mg
 ○桜海老大さじ3杯    200mg
 ○小松菜煮物1鉢     140mg

また、カルシウムの吸収をよくするために、
__鮭・秋刀魚・鯖などに多く含まれるビタミンD、納豆・ほうれん草・春菊などに含まれるビタミンKなども併せて摂ることも必要。
__牛乳の栄養価が高いことは分かったが、一方では、「牛乳を飲むと太る」という誤解があり、先生はそれを否定するため、辻学園の学生を対象に「牛乳ダイエット作戦」を実施した。やせたいと思っている学生40人を、牛乳を毎日200ml飲むグループと、飲まないグループに別けて調査した。4ヶ月のダイエットを実施し、身体のサイズ、体脂肪、 筋量を、試験前と後で比較した。体重は両グループとも1・0キロと1・1キロ減でほぼ  同じ結果だったが、ウエストの減少、体脂肪の減少、筋量の増加など、明らかに牛乳を飲んでダイエットしたグループの方が、健康的に体重を落とすことができる結果が出た。

広田先生はまとめに、筋量を増加させられる牛乳ダイエットの方が、基礎代謝量も上がり、より効率的に体重を落とせる、ということで是非お薦めしたい、と力説して講演を締めくくった。