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全国牛乳新聞・【第503号】(抜粋)
2006年(平成18年)8月10日


仁木良哉・北大名誉教授が新谷弘実氏に反論

2006年6月24日(土曜日)付け 毎日新聞北海道版に掲載

新谷弘実氏(71)は米国在住の医師であり、昨年、その著書「病気にならない生き方」(サンマーク出版)が大きな話題を呼んだ。 「ミラクル・エンザイム」なる氏の造語を駆使しながら、食材の功罪を論じた内容だ。 当該著書の中で注目されたのは牛乳を飲むと骨粗鬆症になる、という部分だ。 全乳連では出版から一年が過ぎたいま、氏の論理を「庶民の目と感性」から検証してみた。 検証にあたっては、今年六月に毎日新聞北海道版に掲載された北大名誉教授・仁木良哉先生の反論を引きながら、全乳連としての困惑と疑問点を提示していきたい。

■「科学的検証ない」と仁木教授が指摘

毎日新聞に掲載された仁木教授の反論の軸になっているのは、新谷氏の論理的不整合性と読み取ることができる。本紙にも「あいまいな表現が多く、データを検証することができないように、逃げた表現が少なくない」という感想が寄せられている。

概して、こういった健康本では、学術論文ではないため、データをトレースバックできるように記述する必要性はないが、ここまで言い切ってしまったからには、その根拠を第三者が検証できるよう出典などを示すのが良心的であり、また巻末に参考文献を列挙するのがマナーである。こうした点を仁木教授は「科学的でない」とはっきり言っているのだ。

■槍玉に上がったのは牛乳だけではない

小紙の立場から言えば、牛乳に関する新谷氏の記述に注目がいくのは当然だが、この著作全体をよく読んでみると、他の食材を問題にしている。たとえば、ビーフやポーク、鶏などの平均体温は人間より高いので、「血を汚す」と簡単に言ってのけている。

その論理や記述方法が牛乳を槍玉に挙げている部分とほとんど同じ論理であるのは頷ける。「・・・といわれている」とか「・・・だそうです」という文末で終わる記述が多く、具体的な文献を提示していない。牛乳に関しても、「米国人7万8000人を12年間追跡し、牛乳を飲むほど骨粗鬆(こつそしょう)症になる関係を明らかにしたハーバード大学の研究がある 」とバッサリ切り捨てているが、仁木教授によれば、「その論文には牛乳を飲むほど骨粗鬆症になるとは書かれていない。・・・カルシウム摂取量が所要量まで平均していっていない我々日本人には意味のないデータであり、自分の主張に都合良く解釈している」と科学者としての立場から新谷氏の資質に疑問を呈している。

仁木教授は具体的な数値や研究者の名前をあげて、新谷氏に反論している。普通の学会なら相手にもされないような論理にキチンと丁寧に反論しているのだ。

もちろん、新谷氏の言い分に頷ける部分も多々あるが、そういったよい部分を台無しにしてしまっているのは非常に残念なことである。

■新谷氏の観念的な論理

「この本は著者個人が抱いている一種の生き方指南書」みたいだと評した人がいるが、その通りである。「愛が免疫力を活性化させる」とか「病気の大半は遺伝よりも習慣に原因がある」などなど。一種の精神論みたいなことをいかにも科学的データがあるように論じているところに新谷氏の罪があるといえないだろうか。

編集部でも10人のOLにこの本を知っているかを尋ねてみたところ、なんと全員が知っていた。牛乳は身体に悪いと書いてあるが、どう思うか聞いてみると、ほとんどが「だって牛乳って錆びた脂肪がたくさん入っているらしいし、過酸化物質なのよ」とにべもなく答えた。彼女たちは科学者でもないし栄養学を学んだわけでもない。そういった点で、文字として出版され、話題になった本を手に取るのは責められない。また、書いてあることを「鵜呑み」にして、知り合いとの世間話に披露するのも不思議ではないだろう。

問題なのは「その本に書いてあることは根拠薄弱だし、おかしいのじゃないか」という意識が働かないことだ。内容がセンセーショナルになればなるほど、その内容を落ち着いて考えてみるという習慣が欠けている結果ともいえよう。

■もっと声を上げて反論しよう

仁木教授はこう訴えている。  「あまりにも偏った見方で牛乳を有害な食物と評価し、牛乳利用の選択肢を奪うような情報発信はやめてほしい」

業界として「相手にしない」という大人の姿勢も一つの対応だろう。しかし、出版物として世間に流布し、かつ社会的にも大きな話題となっていることを考えれば、「そうではなく、牛乳という食物は数千年も前から人間が利用してきたものであり、なんら問題はないのだ」とみんなが声を上げることも重要なことではないか。

全乳連傘下の販売店も顧客に対し、書いてあることがおかしいのだ、と日常的に言って歩くのが牛乳の復権に不可欠だ。小紙は新谷氏を似非医師とは言わないが、少なくとも論理の展開方法に関しては素人であると結論せざるを得ない。また、同氏のいわゆる「ミラクル・エンザイム」なる酵素の分子構造くらいは明らかにして欲しいものである。


■関連記事
毎日新聞 2006年6月24日 (土曜日) 北海道版4月29日に掲載した「病気にならない生き方」(サンマーク出版)の著者で米国在住の医師、新谷弘実さん(71)のインタビュー「牛乳有害説の根拠を聞く」に北海道大名誉教授(畜産化学専攻、農学博士)の仁木良哉さん(74)=石狩市在住=から「科学的検証のない主張だ」との反論が寄せられた。新谷さんの主張を整理し、仁木さんの反論を紹介する。
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「牛乳有害説の根拠を聞く」に北大名誉教授・仁木良哉さんが反論

(社団法人日本酪農乳業協会ホームページに記載のもの)


■在来線
__★ようやく夏。なぜか、牛乳は八月より九月が需要のピークとなるとか。北海道から都府県にドッと搬出されるのも毎年同じ。もちろん、学乳といわれる学校関係の需要が出てくるからだ。夏休みは学乳需要もほとんどなくなるため、頼みの綱は猛暑★しかし、牛乳離れが進んでいる最近では、お茶の売り上げがこの十年間あまりで2倍以上となり、とうとう牛乳を追い抜いてしまった。★牛乳は果たしてお茶よりも不健康な食品なのだろうか。世の流行は移ろいやすい。ワインのポリフェノールがいいといえば、西へ走り、お茶のカテキンがよろしいとなれば東へと向かう★メジャーの松井秀喜選手いわく。アメリカへ来て初めて日本の牛乳ほど美味しいものはないと。いったい、なぜ美味しいのかをもっと踏み込んで調べてみれば牛乳のステータスもぐんと上がるはずだ(Y)