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Q50
肝臓病には牛乳を積極的に摂取したほうがよいのですか?

慢性肝炎の食事療法では、<BR>普通食にプラスして1日コップ1杯の牛乳摂取が推奨されています。

肝臓病の食事療法といえば、以前は「十分なエネルギーやたんぱく質を摂り、脂質を控える」とされていました。しかし、「多くの栄養を摂取することはかえって炎症を起こしている肝臓への負担が増す」と理解されるようになり、現在では「適正なエネルギー摂取の下、栄養バランスの取れた食事」が食事療法の基本とされています。慢性肝炎の食事療法の一例では、普通食を基本にした食事を3食規則正しく摂り、その他に1日コップ1杯の牛乳摂取が推奨されています。

慢性肝炎の患者さんの生体代謝変動の特徴のひとつは、肝のたんぱく質不耐症により血清芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)が増加し、一方筋肉での分枝鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)の取り込み代謝の亢進などにより、血清分枝鎖アミノ酸が減少し、その結果アミノ酸インバランスを生じることで、さまざまな障害を引き起こします。

分枝鎖アミノ酸は栄養学的に必須アミノ酸であり、ヒトが必要とする必須アミノ酸の約40%を占め、たんぱく質中の含量が大きく、産生エネルギーも大きいことから重要視されています。分枝鎖アミノ酸は生体においてエネルギー基質として主に筋肉で利用されるのみならず、血清アルブミンなどのたんぱく質合成に促進的に働きます。代謝経路も他の大部分のアミノ酸が肝臓で代謝されるのに対し、分枝鎖アミノ酸は肝臓ではなく主として骨格筋で代謝されるという特異性があります。

牛乳は鉄分の含量が少なく、Fisher比の高いたんぱく質源として極めて有用といえます。

肝硬変が進行した肝不全状態では、血中の芳香族アミノ酸が上昇し、分枝鎖アミノ酸が低下するため、昏睡状態に陥る肝性脳症を発症する危険性があります。その予防にはFisher比(分枝鎖アミノ酸/芳香族アミノ酸)の高いたんぱく質の摂取が有効です。肝臓病の食事療法で、たんぱく質源として肉や魚よりも牛乳が推奨されるのは、牛乳のホエー(乳糖)たんぱく質が、食品たんぱく質の中で最もFisher比が高く、より少ないたんぱく質量で必要なたんぱく質をまかなうことができるためです。

最近は、肝臓病では鉄分の摂取を極力控えるように指導されています。牛乳の鉄分の含量がとても少ないということは、たんぱく質源として極めて有用といえるでしょう。

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【Q・50】 肝臓病には牛乳を積極的に摂取したほうがよいのですか? 慢性肝炎の食事療法では、
普通食にプラスして1日コップ1杯の牛乳摂取が推奨されています。