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ニュース 谷尻会長、日刊酪農経済通信の取材を受ける

全国牛乳商業組合連合会会長 谷尻谷尻順一 全国牛乳商業組合連合会会長が株式会社 酪農経済通信社の取材を受け、来年(2009年)3月に予定されている再値上げに関するコメントが”日刊酪農経済通信”10月30日(第12967号)及び31日(第12968号)に掲載されました。
記事には、牛乳販売店の実態と全乳連(全国牛乳商業組合連合会)の進むべき方向性も書かれています。


◎我々の生活権を守る活動を展開していく

谷尻順一 全国牛乳商業組合連合会会長

一連の京都発信『牛乳にそうだんだ。』キャンペーンなど、生処販(生産者・処理業者、メーカー・販売店)を大同団結させ消費拡大に取り組む姿勢は知られるところ。今年5月、牛乳販売店を取りまとめる流通組織・全乳連の第43回通常総会で、若さとその行動力を嘱望されて54歳で新会長に就任した。来年3月からの飲用乳価再値上げが決まり、消費者と最も近くコミュニケーションできる立場として今後の消費のカギも握る。量販店との対比を鮮明にしながら宅配市場の安定化、組織強化に向ける思いを聞いた。平成10年有限会社たにじりや代表取締役、同年京都府牛乳商業組合理事に就任。18年から同理事長。

▽安売り是正なくして値上げの回答に不満
--- 3月からの飲用乳価再値上げをどう受け止める。

販売店としては、生産者の乳価を値上げをすることにいささかも反対はしない。 生産者が苦しいのはわかるし乳業界全体でのことだから。しかし、大型店での安売り是正なくして値上げの回答が出たこと自体に不満を持っているのが我々販売組織でもある。また、ひと言も相談がなかったのはどうかと。

今メーカー等では、どのくらいの価格ラインが目安かとそういう話ばかり。主婦の立場に立てば安い方がいいに決まっているわけで、生産者並びに販売者とが話し合いを持って決め、落ち着くところに落ち着くのが基本じゃないだろうか。

販売店に対しては、まだ値上げのアクションは何もない。でも本当のところ消費については乳価の影響云々ではなく、なぜ牛乳が売れないかという原因のところをもっと追求しないと。なんで市場が縮小しているかをもっと考えるべきだ。それがものの全てだと思う。

▽一番啓蒙活動をしているのは販売店

販売で我々が扱う牛乳の売上高は今やスーパーの何%かだが、牛乳の良さを知ってもらうところで一番啓蒙活動をしているのは販売店だという自負がある。そこのところを生産者から評価してもらわないと始まらない。それぞれ生産者が努力している部分や商品の良さをまずお客さんに知っていただこうと日々努力している。特に内地の酪農はすでに生産量でも北海道に負け、コストもかかり廃業する人も多い。しかし内地の酪農家がなくなることは絶対に許されないわけで、残すべく方法は社会に、消費者に認めてもらうことしかないと、じくじたる思いで地産地消の手伝いをさせてもらっている。もちろん北海道の牛乳を扱わないのではなく、現に北海道の牛乳はどんどん浸透しているが、内地の生産者を我々が支援しなければという思いだ。

11月には社団法人:中央酪農会議近畿生乳販連の支援でお客さんを牧場見学ツアーに連れて行く。メグミルク工場と指定牧場を見学したあと、美山地区のかやぶきの里にも行き、かやぶきが残るのどかな地域に十数件の牧場があるのでそういう環境も見てもらう。牛や生産者と触れ合うのは指定牧場でだが酪農のある環境を広く知ってもらうことも大事だと思う。それに今年は『牛乳にそうだんだ。』キャンペーンを3月頃、清水寺一帯で行う予定。これもまた注目して欲しい。

▽どう棲み分けけるか同じ土俵で話し合い
--- 販売店が培ってきた社会的な力や活動はスーパーとは比べようもなく大きいが、スーパーでは値下げの動きすらある。

スーパーとは商いのスタイル自体が違う。バイイングパワーを駆使して大幅に安く仕入れ、その上リットル220円で売っているのは販売量の6%でしかない。我々販売店はメーカーから190円以上で買い220円で売っても20円程度の利益だ。スーパーで最も集客力があり利益が出せる方法は牛乳とお米を安く売るのが一番だそうだ。牛乳はたいてい2〜3日に1回は買いに来るから、例えば利益が1円2円でもお客さんがよそに流れずに来れば、他の買い物で十分採算が合う。こうした儲ける図式を彼らが成長過程の中で確立している以上、その方程式はなかなか変えられない。しかしスーパーが販売価格への転嫁を拒み販売店との差をさらに広げたらどうなる。それはおかしい。

こちらは牛乳は健康にいいですよ、飲んでくださいと日夜回って努力をしているが『悪いけどうちは財布がしんどいんで牛乳はスーパーで買うわ』と言われるのがパターン。これが一番腹立たしい。お客さん1軒の契約を獲得するのに6000円から1万円もの経費がかかる。生産者の人たちも牛乳を届けるまでの販売店のこうした苦労をほとんど知らない。

牛乳販売店は乳業メーカーと力を合わせ宅配という市場を再構築してきたとの思いがある。牛乳訴求こそが大切とやってきて、スーパーにバイイングパワーという圧力をかけられながらも何とか販売店として食べてきた。だから基本的にはそうした我々の生活権を守る活動を展開していく。これからは大きな牛乳業界というところでスーパーも販売店もどう棲み分けし、お互い消費が伸びるようにするか。同じ土俵で話し合わなければならない」

▽牛乳の値段は一物百価
--- そもそも販売店の牛乳の価格はどう決まるか。

メーカーとマーク団体の話し合いでは方向性は話しても、販売店の拡売費をアップして欲しいと言っても、メーカーは持ち帰って調整するわけで、最終的には個々の販売店とメーカーで決まる。大きい販売店と小さいところでは牛乳1本の値段が1割ぐらい違うと思う。でも今回はたぶん、値上げを吸収するためには、小さい商いのところにはいつまでも安く届けられないから、そこは値上げしてくださいとメーカーも申し入れるんじゃないか。

それにしても牛乳の値段は一物百価もある。3大メーカーの仕入れ価格はみんな違い、仕入れの本数に応じても違う。値上げの話しがあっても、あとこれだけ仕入れの本数を上乗せすればそれなりの対応ができるから価格的な変動はあまりないですよ、という調整があったところとないところと。そんな現状だから誰に合わせて値上げを反対するかということになる。卸をしている販売店では値段を決めるのはバイヤーとスーパーであったり、納品の仕方でも値が違う。しかしいずれにしろ納めなかったら売り上げはゼロになるわけで、売るために春の値上げの話が未だに通っていないところがある。

販売は販売で今年はタイトな状態。今夏はメーカーも乳を出してくれず、大きな販売店はみんな北海道に買い付けに行った。だから北海道からは直接送りますよとなって、牛乳製品が今では関西までもどんどん来ている。


◎我々の生活権を守る活動を展開していく

谷尻順一 全国牛乳商業組合連合会会長

▽若い世代に飲んでもらうことが課題
--- 4月の価格改定で販売店は平均5〜6円上げたと聞く。売り上げへの影響は。

4月の値上げ幅は僕のところ(有限会社たにじりや)は6円だが、時代をにらんで幅いっぱいの1本20ぐらい上げたところもある。絶対に次の値上げがあるだろうからそのときはスルーするために値を上げておこうと。サービスとして新商品を毎月2本入れるなどして値上げを緩和させるかたちを取ったり。しかしやっぱり全体の販売本数は少し減っている。改定の影響もあるだろうが購買者が年配のために落本することも多く、販売店にとっては30代など若い世代に飲んでもらうことが課題だ。しかしその年代は、値上げの負担感が大きい。それに今年は燃料代の値上げが販売店の大きな負担になっている。うちも売り上げは減っても経費を押さえるため、一部、週3回の配達を2回に変えたりしている。

▽市場を安定させるために地元の販売店存続が大切
--- 全乳連(全国牛乳商業組合連合会)では廉売是正も強く訴えている。

東京と愛知でスーパーやディスカウントショップの安売り価格をずっと調べてきて、こういう状態だと廉売是正を強く訴えてきた。こうしたことも含めて全国の販売店のために何らかの取り組みを行おうと、社団法人:全国牛乳流通改善協会さんとも話している。まず現実の情報を届け販売店同士共有することが大切。

宅配業自体も競争が激化してきている。従来から生協などいろいろあるが今度はコンビニも入ってきた。そこをどう攻めるかも今後の課題になる。ここ1〜2年、年間数百軒単位で販売店がやめていく。購買層も高齢だけど経営者も高齢者が多く、全乳連としてはうまく受け皿を用意し、高齢で終わった後も全部引き継げる体制、メーカー取引を継続させるシステム作りをしたい。書類のデータ化も含めサポート作りが必要だ。市場を安定させるためにも地元の販売店が存続できることが大切で、全国9000軒の販売店は残さなければならない。

▽勧誘禁止の動きも存在の大きさを示して阻止
--- 全乳連(全国牛乳商業組合連合会)は今年度のテーマに危機管理も挙げている。

宅配市場に対し規制がかかってくるのが一番怖い。保険や新聞、牛乳などの度が過ぎた勧誘に対し行政の方から動き出した。秋田でも飛び込み勧誘禁止条例が検討されている。奈良県の生駒市では勧誘拒否のステッカーができて、4月から張ってある家には勧誘に行かれなくなった。せっかくいい牛乳でも勧めること自体が禁止されてしまう。だから我々のいう危機管理とはこういう統制にならないよう、営業が持続できるよう、行政と一緒になって市場環境の整備をすること。行政ともっといろいろなところで結び合い、販売店が置かれているポジションを上げたい。

--- 今後の拡売は難しくなるか。

ちゃんとした土俵作りができるかにかかっている。生駒市の罰則は自治体の広報に店の名前が出て、こういう販売店には気をつけてくださいと書かれる。それが住民サービスなんだ。そういう市場環境になっては困るので、地域貢献など社会を支えるには販売店の存在が大きいと、我々はそのために努力しますと言っている。消費者との接点に立って牛乳の良さを知ってもらうにも、結局そういった地道な活動しかない。それが価値として認めてもらえるなら、少しぐらい高くても買ってもいいよということになる。こういう積み重ねをみなさんと一緒にやりましょうと、商業組合がない県には賛助組合を作ってノウハウをオープンし、全体で盛り上げていこうと呼び掛けている。そのための情報発信ということでホームページも変えた。

▽生・処・販の動向がわかる情報を発信
--- ホームページは、牛乳に関する様々な質問への回答やデータベースの公開など大変充実したものになった。

ホームページ(ポータルサイト)は1週間に1回程度更新(コミュニティサイトは随時更新しています。)し、メーカーの方にもだいぶ見ていただいている。会員外からも注目されている。さらに、全乳連(全国牛乳商業組合連合会)が月1回発行している牛乳新聞も増ページして充実させ、全国の販売店に情報発信をする。お年寄りと話しているとネットでの情報収集は無理で、やはり活字によるところが大きい。今まで統一した牛乳販売のための新聞はなかったので、牛乳新聞の紙面を増やし、メーカーサイドの情報や販売店情報の掲載と同時に、生産者の教育ファームなどの生・処・販の動向がわかるものにしたい。

▽生産者の思いのある商品伝えるのが心意気
--- 冒頭、牛乳が売れないと言った。販売店として今後どう売るかも大きいのでは。

やはり牛乳の効果や機能性、生産者の姿勢など含め、そういう情報をしっかり見せていくしかないと。今はそういう時期だと思う。後は商品としての魅力が加えられれば。歌手の倖田來未のCDジャケットに900ミリリットルの牛乳ビンがかっこよく写っていたものを発見したので、その絵をホームページで使わせてほしいと交渉したことがある。実現できなかったが、牛乳についてどんなイメージで売っていくか少々欠けている部分があるので、ファッションリーダーとミルクの取り合わせ、あながち効果がないとも言えない。

最近、グルコサミンなど機能性を添加した乳飲料売り上げの割合が販売店で大きくなっている。Jミルク(社団法人:日本酪農乳業協会)では『ミルクってサプリかも。』 で牛乳の機能価値を訴求している(全乳連版) が、こうした商品の機能性は喜ばれる。我々はお客さんが何を望みどんな商品を欲しいか、もっとキャッチしていくしかない。そのためにも販売店こそいろいろな情報が必要だ。

と同時に、生産者の思いのある牛乳、商品を伝えることは、僕らのように酪農家から代々続いてきた牛乳販売店の心意気というか思い入れなんだ。

(おわり)


参考:(日刊 酪農経済通信・第12967号及び第12968号[この人に聞く]より)
(聞き手・高嶋百合)


昭和33年創刊。酪農・乳業界の情報を発信する日刊紙です。生乳の生産と取引、牛乳・乳製品の処理、製造、流通、消費の状況、酪農行政や関連団体の動向などを報道しています。